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カラオケで人気の失恋ソング、サザンオールスターズ「私はピアノ」を妄想してみる

カラオケでも歌いやすい失恋ソング「私はピアノ」の不思議な歌詞って?

サザンオールスターズの「私はピアノ」は、いまもカラオケで人気の失恋ソングである。「私はピアノ」の歌詞は、大恋愛中に突然振られた女が、幸せだった日々を延々とつづり悲しみに浸る構成になっている。 1980年に発売されて高田みずえさんがカバーしたヒット曲だが、サザン・オールスターズの「私はピアノ」バージョンでは原由子さんが歌うメランコリーな歌詞の途中に、いきなり不思議なシーンが間奏に挟まりこんな言葉が登場する。

「そんなこと、知るかいな」。

それも、他人に言われる台詞ではなく、自分で自分につっこんでいる台詞なのだ。

私はピアノ

人も恨やむよな仲が いつも自慢のふたりだった
あなたとなら どこまでも ゆけるつもりでいたのに
突然の嵐みたいに 音を立ててくずれてく
涙が出ないのはなぜ 教えて欲しいだけさ

あなたから目が離せない
ふたりして聞くわラリー・カールトン
日だまりの中で抱かれ いつしか時の徒然に
思い出に酔うひまもなく 心から好きよと云えた
あの頃がなつかしくて 何もかも

アナタがいなければ 1から10までひとり
言葉もないままに生きてる
くりかえすのはただ lonely play

思いきり感じたままに見せるしぐさやさしくて
言葉じゃなくて態度で 解り合えてもいたのに
男の人なら誰でも 細い肩を抱けばわかる
夜が恐いよな女にゃ それでいいのよすべて

 おいらを嫌いになったんとちゃう 
 そんなことないわいな
 あっそう!この先どないせというのジャジ
 そんなこと知るかいな

辛いけど涙みせない 雨の降る夜にはビリー・ジョエル
情けない女になって しまいそな時には サンバ
ためいきが出ちゃうよな恋 静かに抱きすくめられて
焼けた素肌が今でも なつかしい

ひとしきり泣いたら 馬鹿げたことねと思う
ピアノに問いかけてみたけど
ピアノに問いかけてみたけど
くりかえすのはただ lonely play  lonely play

作詞作曲:桑田佳祐

 

これぞ桑田佳祐さんの作詞!サザンオールスターズがコミックバンドといわれていた時代もあるけれど、作詞制作中の桑田佳祐さんの姿を妄想してしまった。これでもか、という言葉を並べて作詞をする中、桑田さんが急に「素」に戻ってクールに見直して、本音をふりかける姿が浮かんでしまう。たかが歌詞じゃねえか、こんなもん、と。ドラマにしてみた。

〇夜更けのバー
終わった恋に酔い、いつまでも泣いている女。
閉店時間が迫るが、もう一杯だけ、と涙をすする。

優しく酒を供し、
カウンターの中でグラスをふくバーテンダー。

女 「私、この先どうやって生きていけばいいの…」
男  …。(そんなこと、知るかよ。終電なくなるぞ。はよ帰れよ。)

情けない女になってしまいそうな時には?

桑田佳祐さんはまず「音」から作詞をするという。井上陽水さんの作詞もこのスタイルで、だから日本語は後付けで、言葉にはあまり意味がないと聞いたことがある。
この「私はピアノ」の歌の中に「辛いけど涙みせない 雨の降る夜にはビリー・ジョエル」というくだりがある。そして「情けない女になってしまいそうな時にはサンバ」と続く。

サンバ、である。想像してみよう、ここで、あのピーピーひゃらひゃら笛吹きまくり、パーカッション打ちまくりのラテン音楽、リズム感溢れるサンバのリズムを。リオのカーニバルの陽気なサンバパレードを。失恋して落ち込んでるクールな女が一人、サンバ聴いてるシチュエーションって、不思議ではないだろうか。「おい、なんでここでサンバ聴いてるねん!」とツッコミいれたくなってしまう。きちんと想像しながら聴いていると違和感ありありなのだ。
きっと別れた彼はサーファー焼けしたイケメンで、女好きに違いない。結婚に向いてないタイプだから逃げたのかもしれない。いや、彼女が一人聴いているサンバはパレードのサンバではなくて、「もしやワンノートサンバ」なのかも。失恋ソングというのに謎な妄想がひろがる、不思議な名曲なのである。

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