組立通信 WebMagazine

飲食店あるある体験、接客業の大切な基本の言葉って?

接客業の基本は「いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ」のない店は、客とみなしていない?

飲食店で気持ちのいい接客を受けるといい気分になる。飲食店のドアを開けると「いらっしゃいませ」という声がかかる。それが当たり前だと思っていたが、東京ではなぜか、この最初の一声がないお店が多い。とくに、サラリーマンで賑わうオフィス街のピーク時間帯に多い。「いらっしゃいませ」という言葉は、接客の基本中の基本。足を運んで来て下さったお客様を歓迎する挨拶である。もちろん、飲食店に限らず、ヘアサロンでも物販店でも同じである。

お店に入ったときにかかる第一声が「何名様?」「ご予約は?」。こんな店は初手でアウト。「いらっしゃいませ」がない店は、流行って見えてもどうせロクな店ではない。客を客ともみなしていないから「いらっしゃいませ」の歓迎の挨拶が出てこないのだ。
第一声に「いらっしゃいませ」がないお店は、せっかく開けたドアを閉めて、回れ右をすることにしている。空腹を満たすだけの食事目的ならいざいらず、楽しい時間を過ごすために飲食店に行くのだ。飲食業は、サービス業なのである。

飲食店の売りものは、料理や酒でなく「サービス」

美味しいものを提供していれば客は満足すると勘違いしている店も少なくない。実際、不愛想な店主が作るラーメン店に行列ができていたり、女将さんがキーキーと苛立ちながら客をあしらっている居酒屋が流行っていたりの不思議はあるが、理解できない。美味しくて楽しくなければ満足してもらえないのではないだろうか。
わざわざお客が店に足を運ぶのは、その店で過ごす時間を楽しみたいからである。単に美味しいものが食べたいだけなら、テイクアウトやデリバリーで事足りる。一人でも、友だちや仲間とでも、家族とでも、家の食卓とは違う空間で楽しく過ごしたいから、「客」としてサービスを受けたいから、お店に足を運ぶのだ。
飲食店が売っているのは、モノではなくサービスなのである。お客は「客」として歓迎され、もてなされ、敬われて満足する。満足したら、また足を運ぶ。が、不満だったり不愉快だったりすると二度と足を運ばない。

お客様にまた来てもらいたいなら、気持ちよく送り出してこそ

若いスタッフたちで切り盛りしているダイニングバーがあった。

「いらっしゃいませ!」
うん、この店はOK。それに元気もいいし、笑顔もいい。当たり前だが、やはり「いらっしゃいませ」は客として歓迎されている気になる。お店に入ってこの挨拶があるとないでは大違いだ。
それなりに楽しいひと時が過ごせたが、帰り際にサントリーのバーテンダースクールで受けた接客の講義での講師の言葉をを思い出した。

「『いらっしゃいませ』は発音しやすい言葉です。でも『ありがとうございました』は、活舌が難しい言葉なのです。丁寧に言わないと、安物の居酒屋みたいな接客の挨拶になるので気を付けて下さい」

そう。帰り際、店を出るときに背中から声がした。
「あっしゃしたー!」
残念ながら、客としてあまり敬われていない気になってしまった。

繁盛している活気のある店は、「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」を大切にしている。言葉をとても大切に接客されている。
「いらっしゃいませ!」の直後「本日は満席で…」となった居酒屋で、「またぜひお越しください!」と連絡先の書かれたショップカードを渡され、深く長いお辞儀で見送られたことがある。入れなかったけれど好感度はとても高く、またの機会に出直すことになったのはいうまでもない。「本日鮮度抜群で限定入荷!」「店主こだわりのソースでお楽しみください!」と書き込まれたメニューも工夫抜群。オーダーした若いスタッフが厨房でオーダーを読むたび、「喜んで!」と威勢のいい料理人たちの声が復唱しながら響いていた。繁盛店には、繁盛店なりの心構えと姿勢があるのだ。

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